キャンパス施設の新しいタイプの建築として、4つのL字形平面の建物が配置された建物間にパッサージュと呼ばれる空間が組み込まれ、教室間の回遊性と建物内外の可視性が配慮された計画である。L字型の建物をRC造の壁状の耐震要素のみで構成することを模索し、免震構造の採用によってその可能性を見出し、現場打ちRCスラブとプレキャストコンクリートスラブの使い分け、鉄骨柱の採用など、さまざまな構造の組み合わせとなった。工学院大学に建築学部が創設された時機に作られる校舎でもあり、これらの構造の成り立ちが教材としての意味を持つことも途中から意識して設計を進めた。
建物は四つの棟で構成され、二つは小教室、研究室などの小部屋により、他の二つは大講義室や管理部門など比較的大きな部屋により構成されている。小空間の棟は壁、床とも現場打ちのRC造の構造による構成であり、大空間の棟は現場打ちのRC壁、鉛直荷重のみを負担する鉄骨柱、床とそれを受ける梁はプレキャスト部材による構成とした。