都内の狭小地に建つ10階建てのオフィスビルの計画である。
12.3m×14.7mの長方形平面の建物で、隣地からの延焼ラインを避けて配置したことで生まれた建物周囲のスペースを利用して、基礎免震構造を採用している。免震構造を採用したからこそ実現できる架構を目指し、RC造の斜め柱で構成された外殻構造の建物を計画した。斜め柱は見付幅400mm、奥行き650mmの繊細な断面寸法で、2層にわたる斜め柱として途中階の梁を柱から面落ちさせることで柱のプロポーションを際立たせている。12.3m四方のオフィススペースは梁幅250mm @1,500mmの格子梁構造を採用し、RC打ち放しの天井面としている。
本体工事着手前に実大モックアップを作成し、型枠、配筋、コンクリート打設やサッシ納まりといった一連の工事工程を確認し、実際の施工に反映させている。
免震装置には球面術入り支障を採用して免震ピットの高さを抑えている。基礎底面を地盤面から2m程度に抑えたことで、基礎工事における山留の大幅な縮減に寄与している。